昨日は季節外れの台風のおかげで、宿泊客は0。もとい宿泊ゼロどころか、朝から晩まで通りかかる登山者の姿すらまったく有りませんでした。
もう館内の掃除すべき箇所はすべて掃除され、小屋中のガラスというガラスはぴかぴかに磨きあげられて電灯の灯りを眩いばかりに反射しています。誰かに命ぜられるでもなく、ぼくらは全員ストーブの焚かれている受付に集まって、ただ銘々静かに読みかけの本を読み続けておりました。
午後の4時からは、もう今日は誰も来ないだろうと、本来なら小屋閉め当日に行う作業を前倒しで開始。小屋中のジュースやビール、おみやげ品などを段ボールに梱包し、越冬する食品には毛布を何重にも巻きつけて凍結防止。窓には雨戸を、玄関以外の扉にはシャッターまで下ろしてしまいました。
晩ご飯は支配人が腕を奮った小屋閉めパーティーの名に相応しい豪華料理!
それをワインをお伴にもう食えない!ってとこまで詰め込んで、尽きないバカ話と酒とともにいつまでも今シーズン最後の行者小屋の夜は続くのでした……
写真は、昨日の夕方、雨風は相変わらずながら急に外が明るくなったと思って出てみたら、なんと稜線のうえにアーチを掛けていた虹。
広い広い山の裾野の森のなかに、これを見ているのはぼくら小屋番しか居ないのだと思うと感慨もひとしおに、ただその色の彩やかさと鮮明さに、小屋番であったことへの感謝というか幸福感を改めて認識したのでした。
「ありがとう!また来年。」