2009年8月30日日曜日

NZSIA指導員試験キャンプの幕開け前夜

さて、クライストチャーチから戻ってきて五日が経ちました。新しいハウスキーピング(家事手伝い)とチャイルドケアの仕事、そして仕事場でもあり住まいでもある現在の家にもだいぶ慣れてきたところです。

障害児の子のお世話は大変だけれど、薪暖炉の暖かい、リビング・ダイニングルームにブランコ(おとなが乗ってもダイジョウブ!)がぶら下がっていたりするステキなお宅です。kiwi(ニュージーランド人の愛称)と日本人のご両親のため、日本食材も豊富!
丘の上に位置しているため、毎日おおきな一枚ガラスの窓からワカティプ湖越しの山岳風景を眺めながら、日常生活を楽しんでいます。

しかし平穏な日々は、長くはつづかないもの。

一昨日、NZSIAのスタッフから、9月7日から五日間おこなわれる指導員試験キャンプの資料が添付されたメールが送られてきました。
なにやらスキー技術やコーチング技術についてぎっしりと書かれた英文文書が7つほど。

ハウスキーピングとチャイルドケアの仕事は、子どもが学校に行く日中は休憩時間なのですが、これから一週間は辞書を片手に、添付されてきた文章と首ったけになりそうです……

2009年8月27日木曜日

クラブフィールド(?)レポート④ -Mt.Hutt & Mt.Cheeseman-

さてさて、ぼくもようやくベースタウンのクィーンズタウンに戻ってまいりました。やっぱりクライストチャーチは(ですら?)ぼくには大きすぎる街だったようで、なんだかホッと一安心です(笑)
しかし、三日半続いたエキストラバイトやクライストチャーチでの定宿"kiwi house"では交流の輪を広げることができたし、また次の目標「NZSIAのテレマークスキー・インストラクター試験」に向け意欲は十分!充電することができました。

そんなわけで、長々と書き続けてしまった「クラブフィールドレポート」も、今回がラストです。

8月18日(火)

早朝にクィーンズタウン行きのバスに乗る相方を見送りに出る以外は宿から一歩もでることがなく、クラブフィールド旅行の疲れをとる。
同じ宿に泊まったうにかさんはぼくらよりも早い時間に出発し、とりあえずはテンプルベイスンにリベンジに行くという。ぼくは翌日、クライストチャーチからいちばん近く、また南島でいちばん大きなコマーシャルフィールドであるMt.Huttスキー場へ行くつもりだ。スキー場のHPによると、今日は終日雪、明日は曇り晴れときどき曇り、その後はしばらく霧と、行くなら明日しかない天気予報である。

8月19日(水)

前日のうちに予約を入れておいた、クライストチャーチの中心に位置する大聖堂から7時発のシャトルバスに乗る。快晴、車中からの素晴らしい夜明け。Mt.Hutt(Hu)までは2時間~2時間半の道のりである。シーズンでここに通うような人は、皆たいていはメスベンというスキー場まで45分ほどの町に住む。


スキー場に着いてみると、コースマップで想像していた以上にオフピステエリアが広い。そしてそれらが全て、昨日の雪で新雪に覆われ、朝イチバンに来たスキーヤーが「これでもか!」とばかりに雪煙を舞い上げながらシュプールを刻んでいる。遅れてなるものかと、急いでリフト券を購入する。ここはクィーンズタウンの2つのスキー場(CPとRe)と同じ系列のため、ぼくらが普段使っているシーズンパス券を提示すれば50%引きされるのがありがたい。ぼくは準備運動も足慣らしの一本ももったいなくて、いきなりまだあまり人の入っていないexpert onlyのオフピステエリアへ。強風で有名なMt.Huttのこととて、稜線近くはスケートリンクの氷のようにテラテラと磨かれた箇所もあったが、すこし下れば新雪15cm。板が浮かぶ感覚を楽しむには十分な深さである。
しかしさすがは最大のコマーシャルフィールドだけあって、ほんの十分前までいくらでもあった処女雪があっという間に蹴散らされては消えてゆく。自分もすこしでもシュプールが少ない無垢な斜面を滑ろうと攻めるあまり、固い氷のうえを覆っている薄い新雪帯でだいぶ板の滑走面を傷つけてしまった。それでも気分は上々!11時にはオフピステエリアほぼ全域がボコボコの不整地斜面となってしまったため、いい加減に見切りをつけて早めの昼食をとる。
午後は圧雪斜面でイントラ試験に向けた課題の練習と、miniパークでのジャンプ練習。すこしずつ大きく飛べるようにはなってきている、、、とは思うのだが、まだまだカッチョイイ技をキメるにはほど遠い(--;)

これで南島の五つのコマーシャルフィールド(Hu、CP、Re、Ca、TC)はすべて滑ったことになるが、単純にゲレンデ・コースの面白さで言ったらこのMt.Huttがいちばんオフピステとピステ斜面のバランスが良い気がする。ここなら新雪があってもなくてもどこかしらのコースで楽しめるに違いない。欠点を挙げるとすれば、強風や悪天候でスキー場がクローズする日が少なくないこと。そしてスキー場がクローズしてしまうと(他のアクティビティがたくさんある)クィーンズタウンと違って、クライストチャーチまで出ないと何もすることがない、ということだろう。
コマーシャルフィールドはたしかにお客さんの数は多いが、案外どこもオフピステエリアが広いので、降雪直後の午前中とかであれば、十分にパウダーを味わえるのがニュージーランドスキーの特徴であろう。板はボロボロになってしまったけれど、良き一日だった。

そしてクライストチャーチの宿に帰ったら、テンプルベイスンでパウダーをうはうは満喫しているはずと思っていたうにかさんを発見。一体どうしたのかと思いきや、アーサーズパスの駐車場で車上荒らしに遭い下山してきたのだとか。なんでも運転席側の窓が大胆に割られて置いておいた日本からの荷物をそっくり持っていかれ、警察署で盗難届をしてきたそうである。不幸哉……(T-T)

8月20日(木)

ブログの原稿を書きつつゆっくり休憩しようかと思ったら、うにかさんに誘われて急遽Mt.Cheesman(Ch)というクラブフィールドに行くことに。しっかりと一日一トラブルを続けているうにかさんに「怖いから道連れが欲しいんだよね」と言われては断れまい。うにかさんにとっても、この日が日本帰国前のラストチャンスなのである。



しかし今日は何が起こるのかと恐るおそる行ってみれば、最後の最後で大当たり!Mt.Huttとおなじ一昨日の新雪が、クラブフィールドの人の少なさゆえに上部の方はほとんど手つかず。もうそれこそこれまでのうっぷんを晴らすかのように、Tバーを登っては無垢の斜面で粉雪を舞い上げ、あるいは写真を撮り、あるいはムービーで撮影してもらい、ここぞとばかりに極上のターンを味わった。まさにこの瞬間のために一週間以上のクラブフィールド旅行をしてきたのだと、うにかさんと二人、うなずき合ったのである。
それでも午後は快晴の日射に照らされて雪質も重くなったので、下のTバーのピステエリアでイントラ試験に向けた課題練習。ずっと春スキーのように暖かく、またしても終日半袖スキーであった。



Mt.Cheesemanは、コース構成としては変化に乏しく、実際はそこまで評価の高いスキー場ではないかもしれない。しかし新雪は、いかなる優れたコース設定にも勝る。それが自然の状態ほぼそのままに味わえるのが、クラブフィールドというスキー場スタイルの面白いところだろう。
今回の旅行で訪れたスキー場すべてで素晴らしい雪質に出会えたわけではなかったが、雪質云々にかかわらず、「雪山」という場所で「自然」そのままを楽しもうとするこの国の姿勢を学んだ10日間であった。

---------------

ようやく旅行記にも一段落つき、これから一週間くらいは板のメンテナンスや身体の休養、新しい仕事兼自宅に慣れることに専念しようと思います。なので、次の「NZSIAイントラ試験report」が始まるまではしばらくの幕間ですね。
最後までこのレポートを読んでいただいた皆さん、お付き合いいただきまして、ありがとうございましたm(__)m
いつか皆さんの参考になるときがくれば幸いです。

2009年8月24日月曜日

クラブフィールドレポート③ -Broken River & Porters-

今日で、三日半かかったドラマのエキストラバイトも無事終了。ロケ隊は今日の午後の飛行機で日本に帰国するそうです。太平洋戦争後、シベリアでの労働を強いられた戦争捕虜役。エキストラだから当然セリフもなにもないけれど、戦争というものについて考える良いきっかけとなりました。
フジテレビで10月15日、初回放送。山崎豊子原作ドラマ『不毛地帯』。初回冒頭のシベリア抑留時代のシーンで、主演の唐沢寿明のうしろのほうで川辺を掘ったり、墓の前で整列していたりします。オンエアーを直接見られないぼくの代わりに、良かったら探してみてください♪

というわけでまだまだ先週の日記がつづきます……

8月16日(日)

そろそろアーサーズパス付近の天候も回復してきたようなので、ふたたびクライストチャートから西に向かい、Broken Riverスキー場(BR)へ。これまではたいていスキー場へ行くまでの道で一日一トラブル発生していたので、この日も相当の悪路を想像していたのだが、意外とふつうの未舗装道であった。むしろ昨シーズンまでは荷物だけしか乗せられなかった(人間は20分ほど歩いて登る必要があった)グッズリフトが、ケーブルカーのように人も乗せられるようになっており、あいかわらずリフト券売り場から十分ほどは登るのだが、それでも以前よりもかなりアクセスが楽になっているのだと思う。


ここでも子ども連れで来ている家族もいたが、さすがにこれまでのLyやHSにくらべると全体的に急で難しい、中級~エキスパート向けのゲレンデ構成である。あまり雪も降っていないらしく、上のほうはコブで、特に午前中の日陰斜面はそれが固くなっていて、楽しいどころではなかった。
しかし日が高くなれば雪も緩み、たまたまこちらのアウトドアショップの試乗会が行われていたこともあって、いくつかの板で不整地を試し乗り。そして使い慣れたK2の乗りやすさを実感w たまに雲が晴れると、細くて急峻な稜線に囲まれた息を呑むほどに神々しいスキー場全体像を望むことができる。いったいどれだけスキーが好きで好きでたまらない人物が考えたのか、よくぞこんなところにロープトゥを設置してスキー場を造ろうと思ったものである。3時ごろには一面のガスでホワイトアウトしてしまったので早々に下ってきたが、終日の不整地スキーで十分にお腹いっぱいであった。(写真はじぶんのカメラを忘れたので、うにかさんからの提供)

気分良く下山して、すこしクライストチャーチ方面に戻ったところにあるSpringfieldという町の日本人(とkiwiの夫婦)が経営するYHA、Smiliesに宿泊。
事前に聞く噂はどれも良いものばかりだったから期待していたのだが、案内されたモーテルルームはお湯が出ない、半分のコンセントは使えない、オイルヒーターも壊れてる、おまけにコンセントが壊れてることを宿の旦那(kiwi)に伝えにいったら「いったいお前ら何を刺したんだ!?」と疑われる始末。オイルヒーターが使えなくて寒いから本館の食堂で晩飯を食べようと思ったら、邪魔だから自分たちの部屋で食えと怒られ…… まぁ他のスタッフの人はそんなんじゃないけど、あのオーナーには「かなり」ガッカリな宿だった。一日一トラブルのジンクスである。

8月17日(月)

残念なSmiliesは早々にチェックアウト、アーサーズパス周辺のクラブフィールドではいちばんクライストチャーチから近いPortersスキー場(Po)へ向かう。


結論からいうと、雪が少なくて上部のオフピステエリアが滑れないPortersは最悪につまらない。この日は二本あるTバーのうち上のが動かなくて、目玉のビッグオフピステバーンBig Mamaが終日滑られず。たしかに街からの距離もスキー場までの道も近くて良いのだが、逆にそのせいで多くのスキーヤースノーボーダーが集中し、大きなスキー場からあぶれたレーサー集団なんかも練習していたりして、コマーシャルフィールドの人混みとクラブフィールドの小ささというそれぞれの欠点が合体したようなスキー場であった。
あまりにつまらないので、うにかさんのデジカメで何本かムービーを撮って昼過ぎに撤収。リフト券が半額(一枚分で二枚買える)Dayだったのがせめてもの救いである。



うにかさんのレンタカーがあるのを良いことに、クライストチャーチ近郊の観光。Lyttletonの巨大アイスクリーム屋を探しにいったらすでに閉店していたので、かわりにジェラートをいただいてクライストチャーチに帰ってきた。

2009年8月22日土曜日

クラブフィールドレポート② -Mt.Lyford & Hanmer Springs-

ドラマエキストラのバイトもなんとか無事二日目が終了。今日はほとんどが待機時間(天候待ちや出番待ち)だったからとくに働いてないといえば働いていないのだが、とにかく朝早くから夜までで眠いし、おまけに寒いし、でなかなか大変だ。
今日一日で撮影できた分なんて、実際に放映されるときには15秒にもならないだろう。いやはや、撮影とは大変なものである。

8月14日(金)

テンプルベイスンをチェックアウトした前日のうちに、アーサーズパスからクライストチャーチ経由でハンマースプリングス(Hanmer Springs)という町に移動。この町をベースにしたクラブフィールドのスキー場が、この日と翌日に滑るMt.Lyford Alpine Resort('ML')とHanmer Springs Ski Area('HS')の二つなのであるが、こちらのほうが比較的天候が良かろうというのをネットの天気予報サイトで見て、Mt.Olympusに行くはずだった予定を急遽変更したのである。
夜、ぼくの運転でクライストチャーチから北に向かいハンマースプリングスを目指している途中、100km/hほどで走っていたトラックを抜こうとして失敗。車がスピンして路端の草地に落ちて危機一髪、危うく死ぬところだった(--;)
マウント・ライフォードに向かう山道はさすがに運転に慣れているうにかさんにお願いしたのだが、それでも氷あり落石ありの未舗装道でなかなかの悪路であった。パンフには'one of the easiest rode'とあったのだが、いったいどのへんが?という気分である。


しかしアクセスはともかく、ここのスキー場はかなり気に入った。コースマップを見ても分かるように、まずクラブフィールドのわりにリフトが多く、スキー場が広い。ファミリー向けのきつくない斜度が多いとはいえ、Mt.Terakoの裏側やLyford Faceをハイクすればこれでもか!という大斜面やノートラックのまっさら斜面を楽しめる。テンプルベイスンとは一転、春のような快晴の下でのザラメ斜面大滑走!
いかにも地元らしい家族がちいさい子どもたちをつれてきていて、ちびっこがおっかなびっくり滑ってはロープトゥでまた登ってゆく姿はじつに微笑ましい。そしてロッジには二匹の雪崩救助犬が常駐(?)している。パトロール曰く「オフピステを滑るときは(救助犬が埋没者を発見しやすいように)200gのラムステーキを持ってきて懐にいれておきなさい」、だそうであるw 今回は一番下のDeer Valley Pomaは動いていなかったのだが、それでもぼくらはTerako Rope Towを中心に、ベース正面のMt.Terakoの裏側やむかって右側のLyford Faceへのハイクを満喫した。



人の少なさや、初心者から上級者まで、オフピステからパークまで、全体的に難しすぎないけれどもバランスの良いゲレンデ構成で、ぼく的には今回の旅行のなかでももっとも気に入ったスキー場の一つであった。




8月15日(土)

前日のマウント・ライフォードの悪路に懲りて、ハンマースプリングスの町からハンマースプリングススキー場までのシャトルを頼む。ここは、このスキー場を運営しているスキークラブの名前から、別名Amuri Ski Feildとも呼ばれているらしい。シャトル代は一人$38。距離のわりには高いが、悪路でレンタカーが立ち往生する危険を考えれば仕方あるまい、、、なんて思っていたら、このシャトルのバンがスキー場に行く途中に通る牧場の真ん中でエンコしてしまった。
どこからともなく湧いてきたひどく焦げ臭い白い煙が車内に充満し、一時外に避難。周囲はまさしくドライバーが嘆いたように、'in the middle of Nowhere'(どこでもない場所のど真ん中)である。運転手はしばらくエンジンを復活させようと頑張ったりもしていたが、結局はしばらくしてやってきた、やはりスキー場へ向かうという乗用車に便乗させてもらいスキー場まで上がった。


スキー場はベースロッジからロープトゥが一本と、それより長いポマリフトが一本の、いたってシンプルな構成。前日同様、雪はザラメの春スキーで、むしろ少し雲も出ていたくらいなのだが、なぜかハイテンションの下着だけで滑っている集団(うち一人は女性で、しかもテレマーカー!)なんかもいて、なにやら非常に愉快な印象を与えたスキー場であった。
というか、広さはライフォードほどではないが、それなりに長い斜面をオフピステで楽しめるので一日いても飽きることなく滑っていられる。これもやはり、オフピステ(未圧雪)が売りのクラブフィールドならではのことだろう。仮に同じ広さのピステ斜面なら、半日もせずに飽きてしまうに違いない。



8月中旬といえば、日本でいえば2月中旬。まさに厳冬期もど真ん中なはずなのに二日連続の半袖スキーで、ここのクラブのひとに訊いたら「今年は春の始まりが早いね」といっていた。他のスキー場で訊いても、今年は季節が例年よりも2~3週間「前倒し」なんだそうだ。

終日スキーを楽しんだあとは、Maruia SpringsというHanmer Springsからさらに70kmほど内陸の温泉へ。懐かしの新潟県は妙高温泉、ホテル秀山によって開発された温泉だけあって、フロントも日本人、湯も40度以上の硫黄泉と、申し分のない立派な「温泉」であった。もしあなたが日本の「温泉」に想いを馳せるNZ長期滞在者なら、(交通の便はよくないが)一度行ってみることを強くオススメしたい場所である。

2009年8月21日金曜日

クラブフィールドレポート① -Tranz Alpine & Temple Basin-

というわけで、すこしずつでもクラブフィールドのレポートをアップしていこう。今回の旅行で滑ったスキー場の数は、計7ヶ所。しかしただ数だけでなく、「山あり谷あり」なかなか内容の濃い一週間だった。ここクライストチャーチでのエキストラバイトをやっている数日間で、あらためてゆっくり振り返ってみたいと思う。

8月10日(月)~13日(木)



朝8:15発のTranz Alpineという列車でクライストチャーチを出発。車社会のこちらでは貨物も含めてほとんど列車を目にすることがないのだが、Tranz SecenicのTranz Alpine号は南島の山岳地帯を一日一往復横断する数少ない観光列車のひとつである。先頭にディーゼル機関車、真ん中に展望車両、最後尾に荷物車両を一両ずつそなえた列車は、全席4人掛けのボックスシート。スナックなどが売っている売店や線路沿いの風景ガイドのアナウンスもあり、広大な牧草地帯から山岳地帯の渓谷まで、いかにもニュージーランドらしい風景を堪能させてくれる。

ぼくらが下車するArthurs Pass駅には、定刻より10分早い10:20に到着。頼んでおいたタクシーで目指すTemple Basinスキー場('TB')への「登山口」へ急ぐ。スキー場は峠から500mほどトレッキングルートを登ったところにある。ただ登るぶんにはいつでも良いのだけれど、スキー板や寝袋などの荷物をスキー場までのグッズリフト(荷物専用のリフト)で送ろうと思ったら、リフトが動いている11時までに登山口に到着しないといけない。スキー場までの登山道は後半から固くて滑りやすい雪道で、荷物といえばカメラと水くらいなのに1時間20分もかかってしまった。

クラブフィールドのスキー場は、ふつうのコマーシャルフィールドとはだいぶ勝手が違う。そもそもスキー場までの道からして、良くて山岳地帯の未舗装道、TBのように多少の登山が必要なところがあるくらいで、ベースとなるロッジも近代的なビルディングではなく、いわゆる「山小屋」的なところがほとんどだ。たいてい食事付きの宿泊もできるけど、宿泊客といえど館内の清掃や食器の片付けを手伝うことになっている。ゲレンデは、圧雪なんてこれっぽちもしていないベイスン(お椀型の地形)に2~3本、ロープがぐるぐる回っているだけのロープトゥや、せいぜいポマーやTバーがあるだけである。それでも初めてだからといって心配する必要はあまりない。きっとスキー場まで行ってしまえばスタッフや常連のクラブメンバーがあれやこれやと教えてくれることだろう。
ぼくらもいろんな人に案内されながらアコモデーションにチェックインし、リフト券やロープトゥ用のナッツクラッカーをレンタルしてさっそく滑る。


TBは上図のように、ロープトゥが3本。到着した時間も遅かったためにこの日滑れたのはリフトそれぞれに一、二本ずつだったが、結局その後三泊してスキーができたのはこの日のみであった。二日目以降は停滞前線につかまって連日の風と雨、終日リフトは動かず、他の宿泊客とおしゃべりしたり、持っていった『武士道』を読んだり、相方と碁を打ったり。他のお客さんもさほど滑れないことに落胆するでもなく、ひたすらゲームに興じるばかりである。
肝心のコースの感想はというと、、、?かなぁ。なにせあまりに滑った本数が少なすぎるし、すくなくとも雪質は決して良いものではなかったから、きっとふかふかの雪さえ積もっていれば板を背負ってハイクして楽しいスキーができるのだろう。ということにしておく。しかし正直なところ、評判をきいて期待していたほどでもなかったというのが本音だろうか。
それよりもここのロッジの食事のほうが断然オススメしたい。なにせ食事つきの宿泊客は、毎日三食食べ放題!(朝食はパンにシリアルとかだけど)ロッジのスタッフが一生懸命に作ったランチとディナーは毎日日替わりのビュッフェ形式。ディナーのスープはだしの骨を煮込むところからはじまって、たいてい二種類あるデザートまで好きなだけ食べられるのである。素泊まり$45の食事つき$75だから、$30の差でこれなら安い。ここのページを見てからTBに行かれる方は、是非食事つきでどうぞ!もっとも常連さんの話によると、その年のスタッフによって食事の内容もだいぶ変わるようだから必ずしも美味しいのかどうかは定かでないが、ちなみにぼくらが最終日だけ食事つきにしてもらったときはふつうに美味しい3種類のカレーライスとフルーツパイであった。



ちなみに日本から合流のうにかさんは12日に入国。即日レンタカーでTBまで上がってきたものの、グッズリフトが動いていない時間帯だったため雨の中を板を背負っての登山となってしまい、おまけに結局ロープトゥも動かないまま翌日下山することとなってしまった。ちなみに板は卸したてのスコッティボブだそうで…… ぼくらの仕業ではないのだけど、パウダーがなくて本当にゴメンナサイm(-_-;)m
ここから17日のPortaersスキー場までうにかさんのレンタカーにぼくと相方も同乗させてもらい、こうしてあまり幸先のよろしくないクラブフィールド旅行が始まったのであった。

2009年8月20日木曜日

クラブフィールド旅行は幕を閉じ

、、、て、まだクライストチャーチに滞在中なのですが、いろいろ事情があってレポートを書き進められない今日このごろ。

明日からは三日間、早朝から遅くまでエキストラバイトだし、それが終わったらまたクィーンズタウンに帰るのにバタバタだし。

それでも現在、必死にレポートを書いているところですので、公開までもうしばらくお待ちくださいね!(>_<;)

2009年8月7日金曜日

初ナイター@コロネットピーク

いよいよ部屋の引き払い&クラブフィールド旅行まで、あと二日!

なんだか、引越しと旅行の準備のあい間に、街の中心部に住んでいるあいだにあれもこれもやっておかないとなんて気分になってしまって、大変バタバタとしております。
今日はコロネットピークスキー場で初のナイタースキーを体験。コロネットピークは、ニュージーランドでは唯一のナイター設備のあるスキー場らしく、天候の良いシーズン中の金曜、土曜の夜のみナイター営業をしているのです。
ぼくはじつは日本でも全然ナイターなんて滑ったことがなかったので、けっこうドキドキ。普段の滑りなれた斜面も、ライトの光が届かないと真っ暗闇の奈落の底に落ちていくようで…… 斜面の凸凹も斜度も出たとこ勝負!なかなかのスリルを味わえましたw(ってか、ライトに照らされてないコースを滑るなという話ですが^^;)雪質も思ったほど固いわけではなく、眼下にクィーンズタウンやその近郊の町々の夜景を望んでの楽しいナイタースキーでした。 



そして明日は、毎週恒例になりつつある土曜日のテレマーク指導員レッスン@カードローナスキー場。
日曜日は午前9時にクィーンズタウンを発つバスでクライストチャーチに向かうので、本当にギリギリまでこちらでのスキーを楽しんでいくとこになりますね。

なんだかいろんなことが目前に迫ってきて気分が昂っているのですが、こんなときこそ熱なんか出さないように慎重にいかないとね……

p.s. Mt.Cook/Lake Tekapo旅行の写真を「うっしーのウェブアルバム」にアップしました~!よろしければお暇なときにでもご覧ください♪

2009年8月5日水曜日

舞台の幕間は忙しいのだ

さて、マウントクック旅行から帰ってきたばかりの我々ですが、じつは今週末の日曜日からふたたび旅行に出かける予定です。今回は妙高で一度ご一緒したうにかさんが日本からいらっしゃるので、三人でレンタカーをシェアして、アーサーズ・パス国立公園周辺に点在するクラブフィールドのスキー場を何ヶ所か巡ってみようと思います。

クラブフィールドとは、現在ぼくらがよく滑っている営利目的の大規模スキー場(コマーシャルフィールド)とは違い、スキークラブによって運営されている小さいけれども、それぞれに個性的なスキー場のことを言います。コマーシャルフィールドのように、レストランや売店まで充実している立派なベースロッジや、だれにでも滑りやすい圧雪斜面はあまりありません。そこのスキー場まで行くのに、登山道を一時間も歩かなければならないような場所だってあります。リフトだって一般的なチェアリフトはごくわずかで、ほとんどはナッツクラッカーという特殊な道具を必要とするロープリフトです。
じゃあ、何故わざわざそんなスキー場に好き好んで行くのかって?それは、、、それは、ぼくらが愛して止まない、急で、広大な、オフピステがあるからなのですよ~!!(>o<)/

いちおう予定では、日曜日にバスでクライストチャーチまで出て、月曜日にTranz Alpineという南島を横断する人気の観光列車でアーサーズ・パスまで行き、その日はアーサーズ・パス(※パスとは峠のこと)から50分のトレッキングをしてTemple Basinスキー場へ。そこで12日に日本からのうにかさんと合流し、13日までTemple Basinのドミトリーで自炊しながらスキー。14、15日は一泊二日でMt.Olympusスキー場、その後ぼくと相方は後述する理由でまだ未定なのですが、事情が許せばクラブフィールドトリップを続けるうにかさんについてCraigieburnスキー場、Broken Riverスキー場などにも行ってみたいですね。
Temple BasinもMt.Olympusも、コースの良さはもちろん、月の大きさと天候によっては夜に月光スキー(!)なんてものができるらしく、それが楽しみのひとつ。またCraigieburnはNZで最もエキストリームなスキー場だとかで、最難はトリプルブラックダイヤモンド(◆◆◆)なんてのがあるらしいです。説明によれば「◆◆◆=Suicidal」、つまり「自殺的」なんだそうで。どんなんか見てみたいじゃないですか。笑

そしてうにかさんと別れたあとは、クライストチャーチで日本のドラマ(フジテレビ系らしい)のエキストラのアルバイトがあるので、ぼくだけクライストチャーチに残留。なんでも戦争捕虜だか自衛隊員だかの役だそうで、日給$250×撮影3日間の高級バイトなのです!
そのあいだ相方のこたろうはと言えば、彼女も新しくはじめる仕事のために、ひと足先にクィーンズタウンに帰る予定。じつは先日の日記(7/25『To ski, or not to ski...』参照)でちょっと書いた、9月末までのオーペア(子どものお世話を含めた家事手伝い)の仕事をふたりで引き受けることでお話がまとまりまして。少しでも早く仕事に慣れてほしいという相手のご意向で、せめて用事のない相方だけも先の帰還、というわけです。

、、、なので、現在、あわただしく引越しの準備中!

少しでも今住んでいるフラットの家賃を安く抑えるため、日曜日にクラブフィールド旅行に出たらそのまま部屋を引き払って新しい仕事先のお宅に引っ越せるよう、今週のうちに旅行に不要なものは移してしまおうという作戦なのですが、なにぶん急な話で(^^;)

なんだかすごくバタバタしてしまいそうですが、わずか一年間のニュージーランド滞在の中ではなるべく多くのことを体験したいもの。こんな忙しさなら嬉しいものですよね。

2009年8月3日月曜日

Mt.Cook/Lake Tekapoレポート -4-

7月29日(水曜日)

なんとなく6時ごろ目が覚めたので、部屋の窓のカーテンをそっとずらしてみたところ、前日とは打って変わって星のまたたく静かな夜明け。相方を起こしたらふたたび車にカメラ道具一式を詰め込み、今度は山から離れて東方向が開けるプカキ湖畔へ。
夜明けの写真を狙ったのですが、、、うーん、イマイチかなぁ?(--;)



朝食後はさっさとチェックアウトし、この日はマウントクックビレッジから100kmほどの距離にある「ニュージーランドを代表する美景として有名な」(注:『地○の歩き方』より抜粋) Tekapoという街へ。
ここの見どころは、なんといってもLake Tekapoの湖畔に建つ"Church of the Good Shepherd"(善き羊飼いの教会)でしょう。石造りの堅実であり質素なこの教会には、一般的な教会にあるような派手なステンドグラスがありません。薄暗い内部に入ると、石造りの壁にはめられた正面のガラス窓はミルキーブルーのテカポ湖と、そのむこうに連なる白いサザンアルプスの山々とを借景し、来訪者は神が御造りたもうた自然の美しさをしみじみと味わうことができるのです。



前回訪れた夏とは違い、他の観光客もまるでおらず(前回は観光客を入れないように写真を撮るのが実に大変だった)静謐な教会の風景を独り占め。マウントクックでの好天を神さまに感謝し、満足ゆくまで景色を堪能したあとは噂の日本食レストラン「湖畔レストラン」でお昼御飯。

どこかで聞いた、ここの「サーモン丼」は一度は食うべしとの評。楽しみにして入ったら、まずは日本茶、キュウリのキムチ漬けからはじまり、しょうゆ漬けサーモンダイスがたっぷり入った御飯のうえにサーモンスライスが全面に敷かれたお重にお味噌汁とお漬物!うひゃ~ぁ♪
見た目も味もかなり満足な一品です。でもじつは、相方の頼んだ「納豆サーモン丼」のほうが、納豆が大好物なうっしーとしては羨ましかったりして…… ちなみに「サーモン丼」は$17、「納豆サーモン丼」は$12。NZに長期滞在していて日本食に飢えている方は是非どうぞ。個人的には、納豆好きな方には「納豆サーモン丼」のほうがオススメです。

午後は湖の西にあるMt.John(1031m)の頂上にある天文台までトレッキング。本当は車でも頂上まで登れるのですが、やはり山は自分の足で登りたいもの。ふもとの駐車場からぶらぶら歩いて登り1時間半~2時間、下り1時間ほどでしょうか。部分的に氷が張っていますが、途中うさぎの群れを見かけたりしてなかなか気持ちの良い登山道です。
広い頂上部には、天文台が三つ四つ。テカポはニュージーランド内でもとくに晴天率が高く、まわりに大きな街もなく光害が少ないため、天体観測に最適なんだそうです。相方と、天気が良さそうなら、テカポで一泊して星空ツアーとかに参加するのもいいねーと話していたのですが、どうも雲も出てきたようなので今回は天文台のカフェ(The Astro Cafe)ですこし休憩しただけで下山してしまいました。マウントクックでの星空もたしかに素晴らしいけれど、山あいだと空が狭くなってしまうのが欠点。それにくらべ、ここなら眼下まで360度以上、まさに星空に包まれるように見えることでしょう。いつか見てみたいですねー。


その後は下山の勢いついでに、Mt.Johnのふもとにあったスケートリンクで1時間半ほどアイススケート。ここは『歩き方』にも載っていないのですが、スケートリンクの他にも温水プールやタイヤに乗って滑る雪の斜面なんかもあって、じつに大勢の家族連れで賑わっておりました。
ちなみにリンクでは、じつは子どもの頃にフィギュアスケートを習っていたうっしーが氷を怖がる相方にバッチリ猛特訓を仕込んでやりましたよd( ̄ー ̄ )フフン♪

と、この旅行最終日は丸一日テカポを満喫し、最後は街灯もない土砂降りの夜の峠道をいっきに走り抜けて、午後8時我らがクィーンズタウンのマイホームに帰宅。ひさびさの旅行者気分を4日間フルで満喫したこたろうとうっしーなのでした。
最後まで読んでいただいた皆さん、長々とありがとうございましたm(__)m

Mt.Cook/Lake Tekapoレポート -3-

北半球はぼちぼち夏休みに入ったのか、クィーンズタウン周辺のスキー場で日本人のスキーヤー、ボーダーを見かけることが多くなってきましたね。先日はカードローナで韓国のナショナルチームを、今日はコロネットピークで日本のナショナルチーム(のレーサースーツを着たスキーヤー)を見かけましたよ。
雪もコンスタントに降るようになって、スキー場も良い雪を求めて人だかり。平日でもリフト乗り場は長蛇の列で、四人乗り高速リフトがさくさくスキーヤーを上に運んでいきます。ニュージーランドはまさにスノーシーズン真っ盛り!

というわけで、マウントクック旅行の日記もはやいとこ書き上げちゃいましょう。

7月28日(火曜日)

朝から予報どおりの悪天候で、キッチンで朝のパスタを茹でていると外では暴風で道路標識がびよんびよんと大揺れ。しかしこの日はもともと'Ski the Tasman'の予備日としてとってあった日程のため、今日は何をするでもなくマウントクックビレッジの歴史ある高級ホテル、The Hermitageでのんびりすることに。
すでに雨が土砂降りのなかYHAからハーミテージホテルまでは車で3分。高級ホテルとはいえ、中にはカフェやお土産屋もあるし、なによりそこ自体がマウントクックビレッジでの観光スポットのひとつのようになっているため、宿泊客でなくとも誰でも気軽に入ることができます。
ということを、ぼくは2004年に卒業旅行で訪れたときの経験で知っていたのですが、実はその後2007年に内部が改装されて、それまでなかった"Sir Edmund Hillary Alpine Centre"なるものが出来ていたんですね!

Sir Edmund Hillaryとは、皆さんもご存知かとは思いますが、1953年に世界で初めて(シェルパのテンジン・ノルゲイと共に)エベレスト登頂に成功した登山家、冒険家です。彼はイギリスのエベレスト遠征隊員としてこの快挙を成し遂げたのですが、もともと彼はニュージーランドはオークランド近郊の生まれ。エベレスト遠征にむけてここマウントクックでトレーニングを積んだこともあり、2008年に亡くなるまで、このマウントクック国立公園およびハーミテージホテルととても深い関わりをもった人物なのです。
アルパインセンターでは、そのヒラリー卿に関しての展示はもちろん、ハーミテージホテルの歴史、登山の資料、さらにはニュージーランド誕生についてのマオリの伝説やAORAKI/Mt.Cook登山を体感できる3Dムービーや、南半球の星空を体験できるプラネタリウムまである、じつに充実した内容となっておりました。プラネタリウムにもいくつかのプログラムがあり、ここだけでふつうに半日は暇をつぶせます。
マウントクック国立公園にいらっしゃる方は、是非、是非!ここのために時間をとってみてください。山や星が好きな人なら、必ず楽しめると思います。



アルパインセンターで大満足したあとは、二階の"The Sir Ed Cafe & Bar"でソーセージロールとホットココアのスナックタイム。ホットココアが「おかわり無料」であることにハーミテージホテルの格を感じてしまう我々こたろうとうっしーです……笑 
晴れてさえいれば一面のガラス越しにAORAKI/Mt.Cookの勇姿が正面から望めるはずなのですが、外は相変わらずの強い雨。それでも、ありがたく遠慮もせずに何杯もココアをいただきながら、そのへんをスケッチしたり本を読んだり。


いいかげん4時も過ぎてからYHAに帰り、すこし雨も弱まったところで昨日のAlpine Guideのガイドさんにオススメされたガバナーズ・ブッシュというハイキングコースへ。国立公園内で唯一原生林が残るというその山道に入ると、多少の雪はあるものの不思議なほど雨も風も感じなくなり、夕暮れ時の1時間ほどのあいだ、静かなショートウォークを楽しむことができました。

2009年8月2日日曜日

Mt.Cook/Lake Tekapoレポート -2-

7月27日(月曜日)

前日までの予報では、月曜日曇り、火曜日雨だったにもかかわらず、薄雲はでているものの今日も晴れ。'Ski hte Tasman'を催行しているAlpine Guides社に確認の電話をしたら、ばっちり決行とのこと。有視界飛行のセスナ機を利用するというツアーの性質上、晴れていて風が荒れていない日にしか行われないため、確実にツアーに参加したければ必ず予備日を設けておくようにと言われていたのですが、、、予報が外れて良かった良かったv(^^)

いそいそと荷物をまとめて車に乗りこみ、9時半にマウントクック空港へ移動。ここは空港といっても国内線の定期便すら飛んでいない、本当にScenic Frights(遊覧飛行やヘリスキーなどのための飛行)のみに使われている小さな空港で、建物内にはスキープレーン(氷河上に着陸するためにタイヤに特別なスキーを装備した飛行機のこと)会社用のカウンターと、ヘリコプター会社用のカウンターがひとつずつあるばかり。
当日ワナカから車を飛ばしてくるという4人組を待っているあいだ外に出ていたら、ゴトゴトゴトゴト、うちらが乗る9人乗りセスナがオモチャのようなカートに牽かれて登場!白地に赤が目立つ、なかなかカッチョイイ機体です。

10時半、参加者全員が揃い、雪崩ビーコンの簡単な使い方レクチャーが終わったら、いよいよセスナに乗り込んで出発!!
狭い機内にスキー板とみなのバックパック、それにパイロット、Alpine Guides社のガイドが2人、ぼくらを含めた参加者6人の計9人が詰め込まれ、発動機のわななきとともにプロペラの速度がどんどん増し、滑走路をすこし走ったとおもったら、もう機影ははるか地表に置き去りに。飛行機操縦士であったサン=テグジュペリの『人間の土地』が座右の一冊であるうっしーにとって小型飛行機に乗ることは数年来の夢であり、「空を飛ぶ」ということがまだそれほど一般的でなかった時代に、こうして(現在のジェット機のように高度10000mとかではなく高度3000mくらいの)機上から住み慣れた地表を「見下ろす」ということがどれだけ感動的であり、また同時にショッキングなことであったか、想像するに余りあるものがあります。

飛行機はニュージーランド最高峰のAORAKI/Mt.Cookの真横を飛び、Tasman氷河に沿って15分ほどのフライトで標高2435mのTasman Saddleにランディング。そこでまずは、ガイドさんから氷河の生成やクレバスについての説明がありました。前の週にドカ雪があったため、クレバス自体は雪に埋まっていてあまり見えなかったのですが、ガイドさんに言われるままにゾンデを刺していくと、普通は2.5mほどで氷河の氷の層に当たるところが、あるところで突然底が抜けたように、スッとなんの抵抗もなくメ一杯入っていってしまうのです。
クレバスに落ちれば少なくとも10m以上、大抵は底なしで落ちてしまうから、必ず指定した範囲内で滑ることとかるく脅されて滑走開始(笑) 途中、AORAKI/Mt.Cookをはじめとする周囲の景観についての解説や、それぞれがビルほどもある大きさの氷の間にできたトンネルを通ってみたりしながら、標高1560mくらいまで約8kmのラン。前日だってギラギラと太陽に照らされていただろうに、高い標高のおかげか雪質はびっくりするほど柔らかくてスムーズです。



そこから再びセスナに乗り、今度は標高こそ2380mと一本目より低いものの、斜度は先ほどよりも滑りやすそうな広い尾根の上にランディング。そこで雪上にピクニックテーブルをつくり、ガイドさんたちが持ってきたランチが並ぶならぶ。暖かい野菜スープからはじまって、でっかいフライドチキン、サンドイッチ、チョコレートたっぷりのチョコケーキにリンゴにスニッカーズにオレンジジュース。むぅー、そんだけあればふつうに腹いっぱいですヨ。パンフレットに載っていたgenerous picnic lunch(訳:たっぷりのお昼ごはん)に偽りはありません。
昼食後に二本目の滑走。正面にAORAKI/Mt.Cookの東壁と北壁を望みながら、こんどは標高1460mくらいまで9kmほどのロングラン。一本目も二本目も、半分以上はほとんど平坦地でターンもせずに真っ直ぐに滑っているだけでしたが、それですら、新雪に自分だけの二本のレール跡を残すのが楽しくて、実に満足なツアーでした。

ちなみに二本目の滑走のあと、氷河からマウントクック空港まで戻るフライトで、パイロットがぼくを助手席に乗せてくれて最後まで大興奮!たくさんのメーターとスイッチをパチパチと操り、操縦桿を握る姿はじつにカッコいいですね。
ぼくがあまりに興奮していたのを見てか、飛行が安定したらふたりでの記念写真まで撮ってくれ、着陸後に小型機が苦手なほかの参加者のひとから「もう君と小型機に乗るときは絶対に助手席に乗させないよ、操縦中のパイロットと記念撮影するために手放し運転なんてさせるんだから!」と怒られてしまいました(てへw)



空港帰着、15時ちょうど。アドレナリン大放出の急斜面も、パウダー巻き上げテレマークターンもありませんでしたが、AORAKI/Mt.Cookを筆頭に大迫力の3000m級の山々の景観と、透き通る青とまぶしい白銀のTasman氷河だけで十分に大満足な一日でした。

2009年8月1日土曜日

Mt.Cook/Lake Tekapoレポート -1-

木曜日の晩、山覆う雲から激しい雨が降りしきる中、峠二つを含む260kmのドライブをしてLake Tekapoより帰宅しました。主目的だった'Ski theTasman'はもちろん、マウントクックでは夜中や明け方に最高の撮影ポイントを探すべく遠出してみたり、バスでは数分間立ち寄るだけのLake Tekapo(ニュージーランドでも随一の景観といわれる場所のひとつ)まで足をのばしたりと、いつもの長距離バスにはないレンタカーの身軽さを存分に堪能した四日間でした。

26日(日曜日)

クィーンズタウン市内のOmegaレンタカーで車を借り、一路マウントクックへ向かいます。車はトヨタの普通車、スキーキャリア付き。
クィーンズタウンからマウントクックまでは264kmで真っ直ぐ行けば3、4時間なのですが、道を間違えて遠回りをしてしまったり、途中見かけたサーモンファーム(鮭の養殖場)の「$14.99/kg」という看板に惹かれて寄り道したりしながら行ったら5時間ちかくかかってしまいました。山岳地帯の峠を越えたら、あとは周囲360度にひろがる無限の広野(ほとんどは牧場なのでしょうか)のなかの一本道を時速120km超で飛ばすばかり。

天気は上々!国道からマウントクック国立公園に向かうプカキ湖沿いの道に入ると、はるか前方に見覚えのある真っ白いAORAKI/Mt.Cookの山頂が見えているではないですか。卒業旅行で来たときは3日間滞在してようやく嵐のあとの最後の一日にだけ姿を見せたあの山頂が、初日からこうもくっきりと見えているというのは、なんとも感慨深いものがあります。
この日は3時半にAORAKI/Mt.Cook Alpine VillageのYHAに到着し、チェックイン後、Kea Pointというビレッジから片道1時間ほどの展望地までトレッキングをしてきました。やはり冬であるため観光客もだんぜん少なく、トレッキングルートにも雪や氷がちらほら。

夕食後に外に出てみると空には満天の星。相方とふたりダウンを着込み気合を入れて、三脚とレリーズとカメラに交換レンズ、それにチョコレートを持って車でビレッジの光の届かない、それでいてマウントクックも見られる場所まで移動。

、、、ぼくも相方も、ナカナカ良い写真が撮れましたよ~っ!!p(☆ー☆)
ぼくのベストショットは望遠でバッチリ合わせたAORAKI/Mt.Cook。


ちなみに相方のベストショットは、マウントクックビレッジの歴史あるホテルthe Hermitageと天の川。


やっぱり車があると、撮影場所の選択肢がダンゼン広がりますね~