2009年11月27日金曜日

ニュージーランドファルコン

先日のことです。隣のトワイゼルという町で、自然環境保護省(DOC)主催の「ニュージーランドファルコン」についてのプレゼンテーションがあるということで、仕事が終わったあとに知人の車に乗せてもらい、70km離れた隣町まで行ってきました。
(ちなみにこの70km離れたトワイゼルが、ぼくらマウントクック村の住民にとって一番近いスーパーマーケットや診療所がある町になります。マウントクック村は、「最寄の」スーパーやお医者まででも車で1時間弱かかるのです。なんて田舎!笑)

「ニュージーランドファルコン」とは、ニュージーランドに固有の猛禽類としては唯一の鳥。日本語でいうとハヤブサのことですね。以前、オフの日にお出かけした隣のタズマン谷で見かけて写真を撮れて以来、なんとなく親しみを感じているのですが、一般にはなかなかお目にかかれない貴重な鳥の一種なのです。

説明会は町のイベントセンター内のシアタールームで、写真のスライドショーを使いながら行われました。
プレゼンターは、鳥類の先生などではなく、地元のアマチュア研究者。聴衆はというと、こちらもやはり地元の自然愛好家や家族連れ。夜の7時からの説明会とはいえ、外はまだまだ9時まで明るいニュージーランド。ちいさい町のことゆえ、参加者のほとんどはご近所さんなので、会場ははじまる前から和気あいあいでした。
自然愛好家なんていうと、日本ではおおげさに聞こえてしまいますが、こちらでは長期休暇になるとキャンピングカーでキャンプアウトしたり、湖に自家用ボートを浮かべて釣りを楽しむなんてのがごく当たり前なので、ちょっと田舎町で育てばだれだって自然愛好家になってしまうんですね。

鳥の希少種の説明会なんていっても、けっしてカタクルシイものではなく、晩飯後のパブに行くまでのあいだを埋める余興くらいの雰囲気なのです。ジョークや笑いも混じった、愉しいプレゼンテーションでした。
しかしだからといって内容が薄いわけではなく、皆さんそれぞれの興味で集まっただけあってさすがに熱心!質疑応答も盛んに行われ、子どもたちの素朴な質問から調査の専門的な手法まで、プレゼンターの方も自身の経験なんかも交えながら一生懸命答えていました。

ファルコンについての細かい特徴ももちろんネイチャーガイドとして勉強になりましたが、それよりも何かのスペシャリストになるためには「好きでネバり続ける」ことが大切なんだと、改めて認識させられました。
いまだ人生の方針定まらぬ私うっしーですが、いつまでもフラフラしてないで、そろそろ自分も進むべき道を考えはじめるべきですかね?

2009年11月23日月曜日

アーサーズパスへ -2-

さて、片道二日をかけたアーサーズパスからマウントクックはハーミテージホテルへと戻ってきました。
行きはクライストチャーチまでヒッチした同じ道を、今日は贅沢にもハーミテージ従業員なら割引価格で乗れる日本語ガイド付きバスで帰ってきました。しかしやはりガイドがガイド付きバスに乗ると、他の人がどんなガイドをしているのか気になってしまってリラックスどころではなくダメですね(^^;) たぶん今日の乗客のなかで誰よりも気合を入れてはなしを聴いていたのは、ほかでもない、他のどの乗客よりもNZについて知っているぼくだったでしょう。おかげでぼくもお客さんに話せるネタが少し増えましたが……

けっきょく、アーサーズパスには金曜日の昼前から土曜日の昼過ぎまで、丸一日とちょっといたことになります。無事に相方とも会うことができ、彼女の職場(Arthur's Pass Alpine Motelと村唯一のストア)も見ることができました。
せっかくだから相方のガイドで色々歩いてみたくもあったのですが、長距離の移動で疲れていたのと天候もイマイチだったので、外出は初日にワイマカリリ川沿いのBB Trackを往復三時間ほど歩いただけ。しかし場所こそ違えどおなじニュージーランドの国立公園。生えている植物はだいたい同じで、たいていの草木の名前が分かったのは嬉しかったですね。
あとは相方が住んでいる従業員部屋でDVDを見たり、これから帰国までの計画を立てたり。

食事はMotelのオーナーが先日獲ってきたという鹿肉(いわゆるヴェニソン)のステーキとセロリスープ。あとお土産でベーキングパウダーやイースト菌を買っていってあげたら、スコーンも作ってくれましたよ。ひさびさの相方手作りがうまい~♪

次回相方と会うとしたら、順番的には次は相方がこちらに来る番ですよね?
楽しみにしてるよ、こたろう君!

2009年11月19日木曜日

ふたたびArthurs Passへ

こんばんは、みなさん。先日のしし座流星群は見られましたか?
NZでは時間帯が明け方にかかってしまう不利な条件のなか、マウントクックのワーホリガイド組は頑張りましたヨ!夕食後からキャンプ場まで行きテントを張って、もともと灯りの少ないマウントクック村からさらに灯りの少ない暗闇へとエスケープです。

、、、が、結果は一晩中「薄曇り」で、星のひとつも見られませんでした↓↓

起きてても無駄らしい雰囲気を早々に察し、けっきょく2人用テントに3人宿泊という、単なる狭苦しいキャンプアウトになっただけというオチでございました(--;)

ちなみに今日からぼくは四連休。自発的にいただいたのではなく、お客さんがいないための強制休暇。仕事がないのは悲しいけれど、悲しんでいてもしかたがないので、ひさびさに相方のこたろう君に会いにアーサーズパス国立公園まで行ってみることにしたのです。
マウントクックからアーサーズパスは、同じサザンアルプスの中に位置しながら、いちど東海岸のクライストチャーチを経由しないといけないという交通の便の悪さ。バス代がかかるうえに、乗り継ぎがうまくいかないので片道二日もかかってしまいます。

しかし今日は、せめてバス代くらいは!と気合を入れて、マウントクックからクライストチャーチまではヒッチハイクで移動することに。

海外での初長距離ヒッチの結果はというと、、、万事順調!!

9時半に村の出口からはじめて、一台目は15分と待たずにイギリス人カップルの車に拾ってもらい、二台目は一台目から下りて30秒後にとおったテカポで働いている若者達の車、三台目も10分と待たずにテカポからチャーチへ行くという、キャンパーバンに乗ったスコティッシュの老夫婦に拾っていただきました。
かかった時間は、老夫婦といっしょにとった昼食の時間も入れてちょうど5時間。バスに乗って直行するのと変わらない時間です。
おかげで午後発のバス(マウントクック発はそれしかない)では間に合わなかったお買い物がいろいろできましたよv さすがに明日は天気も悪くなりそうなので、アーサーズパスまで往復バスを予約しましたが。

帰りも当然二日がかりなので、アーサーズパスは一泊のみ。それでも夏のアーサーズパスを楽しんで、おもいきり休暇の羽を伸ばしてきたいと思います♪

2009年11月16日月曜日

マウントクック図鑑

ぼくら、今年のマウントクック・ガイドチームにはぼくを含めてワーホリ組が三人いるのですが、ぼくらがガイドとして仕事をするうえでの強い味方が「植物図鑑」と「鳥図鑑」です。登山ガイドというよりも、自然ガイドと言ったほうが適切なこの仕事柄、植物や生き物の名前は、氷河にならび、日本からいらっしゃるお客様が期待される最たるもののひとつです。
それこそ研修中は、共同生活という生活条件もあり、毎晩寝るまでわれらがセアリーロッジのリビングで図鑑をまえに「今日はこんな花を見たけどこれは何て花だ?」とか「こんな鳴き声の鳥ってわかる?」なんて勉強をしていたものでした。

そんなぼくらが日常的に使っているのが、植物図鑑は日本語で書かれたもの2冊と、鳥図鑑は日本語のものと英語のものがそれぞれ1冊ずつの計4冊。勉強中は、それらのページを手繰りながらあーでもないこーでもない言いあうのですが、そっちのは写真がわかりやすくても解説がわずかで、あっちのは説明やエピソードが載っているけど記載されている種類が少なくて、それぞれ一長一短。また、当然ニュージーランド全体での動植物図鑑なので、マウントクック国立公園には生息しないものもたくさん載っているし、逆に細かすぎて図鑑に載っていないなんてこともよくあるのです。

やはりそうなると、マウントクック国立公園だけの日本語図鑑が欲しくなるもの。でもそんな範囲限定なのはやはり需要が少ないのでしょう、ないんですね。

、、、というわけで「ないのなら つくってしまへ ホトトギス」的発想ですよ。それならじぶんたちで作ってしまおう!という話になったのです。

つくりかたは、某有名ゲームのポケ○ン図鑑からヒントをいただきました。
まず、見知らぬ花や木、鳥をみつけたら頑張って写真に撮る。
それをあらかじめ用意しておいたワードのフォーマットに貼り付ける。
その名前や特徴などを自分で調べ、もしくは知っているひとが情報を書き込む。
もしそこ以外でも見かけたひとは、発見場所をどんどん書き足していくといこう、という作戦です。

まだ作戦がはじまったばかりの現在は、既知の動植物の写真を撮って、それを名前とともにワードに載せていくだけで手いっぱい。まだそれぞれの特徴なぞ書いていく余裕もなく、それでも現状として草花・樹木・鳥などを含めてすでに60種類以上のページができ、これからさらにどんどん花が増えてくることを思うと「本当に契約が切れる1月2月までに、せめてそれまでに見ることのできる分だけでも完成するのだろうか?」というささやかな不安(というか疑問)も拭いきれません。おまけに植物はともかく、鳥などの生き物の写真はきれいに撮るのがすごく難しいんですね。

道のりはまだまだ遥か遠くですが、じぶんの勉強のためだと思って、できるなりに頑張ってみようと思います。
、、、なんて、本心を言えばただきれいに撮れた写真を遺しておきたいという自己顕示欲の現れでしかないのですが(^^;)

「ハーミテージホテルの売店に並べられる」レベルのモノは無理にしても、せめて来年ガイドとして採用されるワーホリ組のひとたちの参考にしてもらえるくらいのものは作りたいですねー。

2009年11月13日金曜日

セアリーターンズとミューラー小屋

ガイドとしてひとり立ちして、いつの間にやら一週間以上が経ちました。今年は新型インフルエンザの影響か不況の影響か、日本人旅行者の数が例年にくらべて少ないようです。ぼくたちのお仕事も、現状は二日に一回くらいのずいぶん余裕のあるシフトが続いております。
外を歩く仕事だから休日は自宅でゆっくり休養……かと思いきや、たいていは勉強のため、そして自分の趣味のために、ふだんツアーでいかないような場所へと歩きにいっています。

昨日は、今週末に「山登り」にいらっしゃる団体さんのコースの下見も兼ねて、先輩のガイドと、その先輩の友人の3人でセアリーターンズと、さらにその上にあるミューラー小屋まで登ってきました。
このコースは、ふだんぼくたちが案内しているフッカー谷のコースと違い登り勾配がキツく、日本人にとっては腰くらいまである段差を登ったり、手をサポートにつかって岩の斜面をあがっていったりしなくてはならない上級者コースとして紹介されています。一般コースは山の中腹にあるセアリーターンズ(tarnとは池のこと)で折り返しなのですが、今回ぼくらは、そこからさらにまだ雪がベッタリ残る斜面を登ってミューラー小屋まで行ってみることにしました。

先輩のガイドさんは毎年何度か小屋まで登っているけど、ぼくはセアリーターンズより上は初めてで、先輩の友人さんにいたっては、一般ルートのセアリーターンズに登るのも初めて。9時に従業員食堂で待ち合わせ、車で5分ほどの登り口のキャンプ場まで移動。9時半に出発し、15分間隔くらいでインターバルをおきながら急な登山道を1時間ほどでセアリーターンズに到着。すこしずつ雲が出てきはじめたけどまだマウント・クックも見えています。そこでコーヒーブレイクを10分ほど。
セアリーターンズより上も踏み跡はしっかりあるのですが、ちょっといくとまだまだ残雪の大斜面なので蛍光オレンジの案内板に沿いながら、ストックとトレッキングブーツで先行者のステップの後を追います。幸いに雪はほどよい程度にザクザクになっており、非常に歩きやすかったです。でもきっと朝晩は雪面が固くてアイゼン・ピッケルがないと怖いんだろうなぁ……(ちなみにkiwiの友人さんはハーフパンツにスニーカーでした^^;)





セアリーターンズから稜線に出るまでが約1時間。その出たところがけっこう風があったので、そこまでで小屋に行かずに引き返してしまう人たちもいたのですが、そこから小屋までは、広い稜線の反対側をゆるやかに登ってほんの20分ほど。反対側にまわってしまえば風もそよ風みたいなもので、対岸を圧倒的な迫力で下る氷河の風景を楽しみながら、とても標高2000m以下とは思えないような広々とした雪稜をピクニックのような気軽さで小屋に到着したのでした。たしか午後1時くらい。

小屋はガス調理器のある食堂と、二段床にマットがズラッと敷いてある寝室、夏になると常駐する管理人部屋、そして別棟の簡易トイレからなっています。水タンクもありますが、食料やナベなどの調理器具、それに寝袋は持参になります。
食堂の窓からは、標高3151mのマウントセフトンの懸垂氷河や、村内からは見ることのできないマウントクックのハイピーク(最高点)がテーブルに座ったまま眺めることのできる、ナイス・ロケーションです。是非次回は泊まりで夕焼けや日の出の写真を撮りに来よう♪



小屋で昼食を食べて下山開始。このころには雪もちらほら。稜線上はスリップしないようにゆっくり行きましたが、雪の大斜面を下りるところまできたら、あとは一直線に下るだけ。登りは一歩一歩上がった雪面を、お尻をついて両足とストックでブレーキをかけつつ一気に滑る滑る滑るっ!!
三人とも雪まみれになりつつも愉しさに笑いながらアッという間にセアリーターンズまで戻り、そのままワイワイお喋りしながら車を停めたキャンプ場まで帰ってきたのでした。帰りは上から下まで2時間。先輩曰く「夏になって雪が解けてしまったら、逆にもうちょっと大変で時間がかかるかも」とのことでした。

村まで戻ったら半世紀以上まえの写真がたくさん飾られて雰囲気の良いオールド・マウンテニアーズ・カフェに入り、NZ南島といえばこれ!SPEIGHT'SのラガービールSUMMITで、初のミューラー小屋到達に乾杯!!
こうして昨日もまた、充実した休日を送ることができたのでした。

2009年11月5日木曜日

ガイドデビュー


二週間余の研修期間を経て、ようやく先日からハーミテージホテル所属の日本語ネイチャーガイドとしてひとり立ちをいたしました。

はじめてのお客さんは、女性のお二人組と新婚旅行の若いカップルの4名様。幸いに天気はスカッ晴れで、気温もまるで夏を先取りかのように暑い中、一日ハイキングの目的地であるフッカーバレートラックの最終ポイント、フッカー氷河湖まで往復することができました。
こちらにいらっしゃる前に足を負傷されてしまった方や写真を撮るために敢えてツアーから外れて歩きたいという方など、すべてが素直にいったわけではなかったのですが、その対応もまた経験。楽しいお客さんのおかげで、初めてのプレッシャーもなく、楽しみながら良い勉強をさせていただきました。(もちろん、お客さんへのガイドもしっかりできた、、、と思いますよ^^;)

このフッカー氷河湖まで歩くフッカーバレートラックは、いまを去ること3年前、ぼくがワンゲル部の同期の友人と卒業旅行でマウントクックを訪れた際に歩いた場所のひとつでもあります。
そのときはキャンプ場にテントを張りながら、ケアポイント、セアリーターンズ、そしてこのフッカーバレーを歩いたのですが、そのときのフッカーバレーの印象は、標高が上がって山岳風景がパノラマで見られるセアリーターンズに比べて「いつまでも土砂の間や木道を延々と歩かされる割に終着点が地味な場所」程度のものでした。

しかしいまにして思えばなんとまあ。当時の自分の知識や観察力のなさに恥じ入るばかりです。

植生、気候、氷河、地形、歴史。

外人さんのように、目的地(最終ポイント)までサッサカ歩いて、適当に風景の良いところで写真を数枚撮って戻るのも悪くはないですがね。せっかく聴けば驚きのバックグラウンドを隠しているこの地でちゃんとガイドに案内してもらうのも、(宣伝のつもりではないのですが笑)あながちお金の無駄遣いではないように思う今日この頃です。

またそのうち余裕ができたら、フッカーバレーやレッドターンズ、セアリーターンズなどの簡単なルート説明も書きたいと思います。
(写真は、ぼちぼち本格的に咲きはじめたマウントクックリリーです)