またまたつづき♪
19日 日曜日
テントの外は、ずっと風に揺さぶられっぱなしの夜でした。風避けをしっかり作っておいて良かった良かった(^^)v
テントの中はというと、3シーズンシュラフだった相方は着込むに着込んで、新品のエアーマットを敷き、さらに空にしたぼくの100ℓザックに足までつっ込んでちょうど快適な寝心地だったそうですが、それを見ていつも以上に重装備で寝てしまったぼくにはむしろ息苦しいくらいの夜でした。
前日までの疲れのせいか、外が明るくなってもうつらうつら。他のテントがバサバサ畳まれていく時分になってようやく朝食。昨晩、本当にテント泊で大丈夫か?と心配してくださった仲間のみなさんに「生還しました」と朝のご挨拶兼報告をし、テントを撤収して小屋に入ったら、小屋もちょうどお客さんがでて掃除の時間。コーヒーをいただき、火打山ピストンのビルさんたちを見送り、管理人の本宮さんと小屋の設備や荷揚げについて談義を交わしているうちに、気がつけばもう午前10時。
最初は荷物を小屋に置いて、火打と反対側の大倉山あたりで身軽にスキーを楽しんでから荷物を回収し下山しようという計画だったのですが、この日いったん下山する小屋従業員のkanさん、スギさんに倣い、大倉山の下にある黒沢池に荷物をデポする計画に変更。小屋前で集合写真を撮ってもらい、全装背負っていざ出発したのでした。
今日の行程は、高谷池ヒュッテから黒沢岳と茶臼山のコルを越えて黒沢池に下り、そこに荷物をデポして大倉山に登り、北面の緩やかで気持ちのよい斜面を楽しんでから下山する、というもの。
ガイド役のYさんや本宮さんによると、この大倉山北面は、小屋からの近さや斜面の気持ちよさの割りにほとんど訪れる人がいないという穴場的スポット。事実、小屋周辺や火打山の斜面には大勢の(というほどでもないが)人影があるのに、ちょっと黒沢池付近まで来ただけで自分たち以外の人影は皆無。目の前には、どの方向を向いても、チョロっと登って楽しむのに良さそうな無垢の斜面がひろがっています。
いつの間に現れたのやら、管理人の本宮さんも小屋を他の従業員に任せて参上し、みなでわいわいと黒沢池ヒュッテの上から大倉山に登りはじめます。それぞれの足下は、ぼくと相方がテレマークにシール、ベテランのBさんが山スキーにシール、本宮さんを含めた残りの6人がステップソールのテレマーク。この日は本当に、春ツアーでのステップソールとシールの実力差を見せつけられましたヨ。
大倉山の斜面を登りながら、ステップソールの面々は気持ち良さそうなバーンがあるとそのままピューと滑っていってしまい、またそのままサクサクと登ってくるんですね。それが悔しくて、ついついぼくもシールをつけたままヒューと滑ってしまうのですが、そんなことをいくども繰り返さないうちにシールの粘着力はびしょ塗れて皆無となり、しまいには貼り流しのシールを手拭いで板に結わえておかなくてはならない始末。いやー、悔しいですね。
そんなかんじで寄り道しつつ大倉山山頂に至り、ようやく本番斜面。斜度は中級ゲレンデほど。
バーっと滑り、ダーっと転げ、水分たっぷりの雪に顔面突っ込み、メガネが飛び、脱臼癖のある右肩は外れ、前転中にかってにハマり、起き上がってみれば渇き気味だった口のなかにはたっぷりの氷が含まれておりました(笑)しかも、すぐ後にきたYさんも、ぼくがつくった大穴でやっぱり顔面から突っ込んでるし(笑笑)
あんまり気持ちよく滑ると登り返しが大変だからと標高差150~200mくらいでストップ、本宮さんから周辺の地形の説明を聴きながらお昼を食べ(本宮さん、アンパンご馳走様でしたm(__)m)、荷物をデポしてきた黒沢池へと戻ったのでした。
あとはルンルン下山、、、できれば良かったのですが、人生そうは甘くない!
黒沢池から黒沢岳をまわりこむように富士見平まで出たのは良かったのですが、そこから黒沢の橋に出るまでが今回のツアーで最大の試練でした。岩場のある十二曲りを避けるため一本横の広い沢を下りたのですが、ここがまぁ急で急で、おまけに午後2時の雪は高い気温でグサグサに腐り、しかも背中にはテント、ガソリンストーブ、寝袋、デジタル一眼などで25kgはあろうかという100ℓザック(--;)
板をずらすこともままならない腐れ雪。ターンしようにもザックが重く、こけたらそのまま谷底までノンストップしそうな急斜面。当然テレマークターンどころの話ではなく、なんとか橋についたときは心底ホッとしましたよ。ホゥ。テレマーク一年生の相方もよく頑張ったものですが、なによりも今回のツアーで最高齢参加者であるBさんが果敢に先頭を下りていっていた姿が印象的でした。やはり、いざというときは経験がものを言うのですね。
けっきょく午後3時過ぎに全員笹ヶ峰の駐車場に帰着。そのまま全員で温泉に移動して三日間の汗と垢を落とし、国道沿いの有名ラーメン店(?)ニューミサの味噌ラーメンで飢えた腹を満たしてから(貧しい我々に奢っていただいたMさんには本当に感謝の言葉もありませんm(__)m)、各々の家路についたのでした。
------------------------------------
これまで冬は「妙高」で滑っているなんて言ってきたのが恥ずかしくなるくらい、今回のツアーでこの「妙高」山域の奥深い魅力を知りました。山としても美しいし、小屋のスタッフは本当にスキーが大好きだし、そこに(無償で雪掘りをするために)集まるのも気持ちの良い人たちばかりだし、なるほど誰もがここのファンになる気持ちがよく分かりました。
また、イチ小屋番としても高谷池ヒュッテから学ぶことが多く(特に山小屋らしさとお客さんへの気配りのバランスが見事!)、一週間後にひかえた行者小屋の小屋開きにも気合いが入るというものです。
今回のツアーでぼくらを妙高まで同乗させてくれたMさん夫妻、一から十までガイドしてくださったYさん、素敵な高谷池ヒュッテでぼくらを迎えてくれた本宮さんをはじめとする小屋のスタッフのみなさん、新参者のぼくらを陽気に仲間に加えてくれた常連(ゴールドメンバーズ?笑)のみなさん。そして、三日間スカッ晴れの好天を用意してくれていた妙高山と火打山。
愉しい時間を、本当にありがとうございました。
p.s. あとウェブアルバムのほうにも何枚か写真をupしたので、よろしければそちらもご覧ください~