2010年8月26日木曜日

リニューアルお釜くん

前回の記事のパンダ手拭い。笠ヶ岳で働いている相方のこたろうにも「かわい〜!いーなー。あたしも欲しい!!」と言われました。
フフン、いいでしょう? でもあげないよ( ̄ー+ ̄)ニヤリ

ここ数日は珍しく宿泊者数が10人を切るような静かな日々が続いています、行者小屋です。そして静かになれば、忙しい時期には手が回らなかったとこにも目が行くもの。
写真は行者小屋のお釜くん。一度に60人分(6升)の米が炊けるスゴいヤツなんですが、夏のあいだは両隣のガス台で揚げ物をされるために、夏終わりになると写真のような見るからに「疲れきった」顔になってしまうのです。

前回の顔(岡○太郎風)も、PEAKS取材当日に急いで描いたやっつけ仕事とはいえ、やはり自分デザインのお釜くんが腐乱死体のような表情になっているのは見るに忍ばず。店番中、手が空いた時間に汚れの拭き上げと顔のリニューアルをしてあげました。

彼の顔は、たいていはそのとき小屋で流行っているマンガから採られることが多く、過去には「響子さん(めぞん一刻)」や「かわうそくん(吉田戦車)」などがありましたが、今回は山のマンガと言ったらコレっ!『岳』でお馴染み「野田チーフ」に来てもらいました♪

この写真に写っていない裏側では「要救を発見!至急米を炊く!!」と台詞入りで、今回は特に炊く気に溢れているイイ感じに仕上がりました(って自画自賛。笑)

年に1〜2人は写真を撮っていってもいいですかと訊いてくる人もいる、本当にコアな行者ファンのみぞその存在を知るお釜くん。
実物をご覧になりたい方が(もし)いたら、是非行者小屋までw

2010年8月24日火曜日

秋はすぐそこ

数日前から、パンダの手拭いを頭に巻いて受付に入っているのですが、突然女性から(しかも若い)声をかけられる率が上がりました。

今週から、赤岳鉱泉から行者小屋に異動してきたコバちゃんにいただいた手拭いなんですが、この数日だけで「その手拭いステキですね」と声をかけられた回数は両手に余るほど。

モテ期か? もといモテアイテム??
東京のどこぞのデパートの和雑貨屋で購入したらしいです。気になる方は探してみては?

さて、山は夏の花も終盤にさしかかり、現在稜線ではトウヤクリンドウ、樹林帯ではアキノキリンソウ、ホタルブクロ、トリカブトなどが見頃です。
今日は歩荷中に、長野県絶滅危惧種に指定されているオノエリンドウ(だと思うんだけど……確証なし笑)を発見!先週わざわざこの花を探すためだけに、休憩時間を使ってめったに人の入らない沢を歩いたりしたのに……案外こんなに身近な場所に咲いてるなんてね(^^;)

花が落ちれば、山の秋はすぐそこ。

朝晩の冷え込みだって、日によっては5℃近くまで下がることも。
9月も後半になれば最低は氷点下を下回って水面は薄氷を貼り、10月になれば初冠雪の報せもあっという間。今年の行者小屋は10月末日での小屋閉めらしいので、今シーズン残すところもあと二ヶ月ですね。

いまはUnparalleledのDVDを眺めては、一年ぶりの冬に向けてイメトレをする毎日です。

2010年8月15日日曜日

夏半ば

ふぅ……
夏も後半に入り、だいぶ疲れが溜まってきた今日このごろ。

ことにこの1週間ほどはいろんな出来事が重なって、夜が遅かったり、支配人が鉱泉に出張しているあいだ週末の運営を任されたり、そんなときに電気水道トラブルが起こったりで、疲れと緊張で皿を洗いながらフラフラしています(-o-;)

こんな中、大学のワンゲル同期だった友人がお盆休みに二泊三日で遊びにきてくれました!
こんな仕事をしていると、週末連休が最たる稼ぎ時であるがために、昔の友だち連中と会う機会は稀になります。仕方のないことと諦めつつも、大学時代のワンゲルやサークルの同窓会の案内を聞くといつも残念でなりません。まさに槇原敬之の『遠く遠く』ですよ。

♪♪同窓会の案内状 欠席に丸をつけた
誰よりもいまはみんなの顔 見たい気持ちでいるけど
遠く遠く離れていても ぼくのことがわかるように
力いっぱい輝ける日を この町で迎えたい♪♪

離れるほどに強く感じる人と人のつながりってのがありますよね?
そういう友人が遠路はるばる山を登って訪ねてきてくれるというのは、本当に幸せな(「贅沢な」と言ったら日本語が間違っている?)人間関係だなと、感謝の念に言葉もありません。

でもありがとう。O崎くん。
スイカとコーラ(1.5リットル)を持ってきてもらった上に、洗い物まで手伝ってもらっちゃって。

明日まで頑張れば、火曜日から金曜日まではひさびさの休暇。
今回はいつもより日数が短いのもあって、八ヶ岳の主稜線を南に縦走し、仲の良いキレット小屋で一泊、翌日は1時間だけ歩いて権現小屋、木曜日は編笠山から小淵沢に下山し、温泉とリゾナーレによって、原村の「星空の映画祭」を観て、翌金曜日に小屋上がりという「山・街満喫プラン」で行ってこようと思ってます。

火〜木、晴れろ!!

2010年8月2日月曜日

センダイムシクイのピー助

先週のことですが、歩荷中になんの種類か、野鳥の雛を拾いました。

場所は赤岳鉱泉から行者小屋に向かう途中にある中山乗越のつづら折れ。なにやら音がすると思いフと足下を見てみると、まだまだゴルフボール大の小鳥が羽をバタバタさせながら登山道上を転げ回っているではないですか。
あっけに取られて歩荷の荷物の重さも忘れて見ていると、どこかケガでもしているのか、羽をバタつかせるばかりで飛べない様子。幅の狭い登山道のこととて、そのままにしておいても登山靴に踏まれるか 、そうでなくともキツネあたりに喰われてしまうのは目に見えており、ぼくは思わずハチマキにしていた手拭いをほどいてその小鳥を拾い上げていたのです。
間近で見てみると、オリーブ色の羽毛は生えているもののまだ密生というほどではなく、足もケガをしていて立てないというよりも、まだ足腰がしっかりしていないようで、誤って巣から転落してしまったようでした。

手拭いの上に乗せたまま行者まで持ちかえると、子どもも大人も大興奮!とりあえず彼(彼女?)を「ピー助」と呼ぶことにし、子どもたちが菓子箱に草を敷き詰めて巣箱をつくっているあいだに図鑑をめくってみると、どうやらセンダイムシクイの雛であることが判明しました。
彼を巣箱に移すと、次なる問題は食べもの。スプーンで水や温めた牛乳を差し出すのからはじまり、米粒や水でふやかしたタマゴボーロ、成鳥のムシクイに倣って羽虫やイモ虫もそのままや潰したやつと色々試してみたのですが、結局彼が口にしたのは水と牛乳のみ。よく鳥の雛にはピンセットやスポイトで餌を与えているイメージがあるけど、あれにもなにかコツのようなものがあるんですかね?

子どもたちも餌を食べないピー助を心配しつつも、巣から落ちたショックといきなり人間に囲まれた恐怖で動転しているのではないかと、ときどき誰かがチェックをしながら、とりあえず巣箱ごと静かな場所に移して落ち着かせることに。

が、客飯作り中、支配人の奥さんがゆで卵の黄身をすりつぶしたものをあげてみようと行ってみたところ、目を閉じて静かに息を引き取っていたのを発見したのでした。

野鳥の雛が巣から落ちたら、もう永くは生きられないというのは自然の摂理であり、そんなことは重々承知で拾ってきたはず。
それでも必死に生きようと羽を不自由ながらにバタバタさせたり、スプーンの牛乳を啜ったりしていた姿をみてしまうと、このわずか数時間のみの邂逅でも、その死が(悲しくとまではいかなくとも)残念で仕方ありません。

ピー助の死を知らされた5歳と2歳の子どもたちは、死が、もう二度と目覚めの訪れない眠りであることを知り、5歳の子は「じゃあなんで『生き返る』って言葉があるの?」と父親の支配人に尋ねたそうです。
その話を支配人から聞いて、彼を連れ帰ってきたのはぼくという人間のエゴだったのだろうかという心の重荷がすこし軽くなった気がしました。

申し訳程度に石を積んだだけのピー助の墓は、行者小屋をすぐ脇の砂利斜面の上から見守っているお地蔵様の隣にあります。