先日の日記のとおり指導員試験も合格し、昨日クィーンズタウンに帰ってきました。
街は春というにはいささか暖かすぎるくらいの日差しに照らされ、路行く人の小脇には、着て出たはいいけれど暑くなって脱いでしまったフリースの上着が邪魔っけそうに抱えられています。ワナカに行っている五日間のあいだに、ワカティプ湖越しに観るセシル・ピークの山肌も、雪の白から一気に荒地の茶色っぽさを増しました。
簡単にNZSIAのテレマークインストラクターコースの五日間を振り返ってみようと思います。
そもそも、NZSIAのテレマークインストラクター制度はLevel 1からLevel 3の三段階に分かれており、実質的に初年度に取れるのは今回ぼくが受けたLevel 1&2コースのみ。Level 2を合格すると、次年度以降、Level 3プレコースを経て、Level 3コースを受けることができます。Level 1&2は、テレマークスキーの道具の紹介から始まって、マジックカーペットの初心者バーンでのターン導入、連続ターン、中級バーンでのポールなしの連続ターン、ポールを使っての連続ターンまでです。
今回のコースの参加者は、ニュージーランド人4名、オーストラリア人1名、チェコ人1名、日本人1名(つまりぼくですね)の生徒計7名と、NZSIAからのコーチが2名。うちkiwi3名とチェコ1名はすでにアルペンやボードで指導員資格を持っていて、現在もスキー場で働いているという背景でした。(ちなみに一人は初日のレッスン中にボーダーにぶつけられて途中リタイア)
その内容は、大きく分けると、1)デモンストレーション(生徒にレッスンを施す)の練習、2)フリースキーイング(個人技術)の上達の二つ。
1)のほうは、NZSIAのレッスンの組み立て方をマニュアルで学んだあとは、他の参加者を生徒と見たててレッスン運びの練習をし、それを互いに添削・議論しあいながら磨いてゆき、最終日には実際にテレマーク未体験の生徒を教えてみるという流れです。
そして2)のフリースキーイングは、中級バーンで実際に生徒に手本を示すためのできるだけ丁寧で解りやすい滑りや、カービングターン、オフピステエリアでは悪雪でのテクニックとして1ステップターン(NZでは1step-Drop Turn)や2ステップターン(1-2step Turn)、シュートに入ってのジャンプターンなどのコーチングでした。
生徒の希望で、ちょろっと遊びでパークにも入ったのですが、さすがにNZSIAのコーチもパークは専門外とみえて、ボックス(日本でいうレールですね)に乗った途端に横転、横腹を強打して苦い顔をしてました。(もちろん生徒はやんややんやの大笑い^^;) いやでも、さすがにRemarkablesでアルペンのフリースタイルのレッスンをやっているというチェコの女の子は巧かったですね。ぼくも彼女にコツを教えてもらって、超ゆっくりながらも初めて横向きでコケずにボックス滑れましたよv
このコースで一番大変だったこと。
それはNZテレマークの教程が、いまだに斜面に正対が基本であるということ。それは板がどの方向を向いても上体はフォールライン向き、つまり足元がまわるにつれ上体は捻ってカウンターローテーションを起こさなくてはならないのです。分かりやすくいうと、人間が歩くときに手足が左右逆に出るのと同じ動きですね。
これは、まだ板が細くてサイドカットがなかった時代の、身体のバランスを保つためのテクニック。プラスチック製のブーツやカービングの板が主流となった現在は、より高速化したスピードの遠心力に負けないために手足の左右が同調する滑りをするひとが多く(身近な例をあげれば、ぼくがお世話になっていたMBSSの永峰校長は顕著ですよね)、ぼく自身ずっとその滑りだったので、それを身体に叩き込むのには苦労をしました。。。
そしてこのコースで一番印象的だったこと。
「レッスンに言葉は必要ない、生徒はコーチを見て、コーチと滑って学ぶ」ということ。ぼくが最後までコーチに言われ続けたのは「喋りすぎるな、あくまでシンプルに(Don't talk too much, Keep It Simple!)」という言葉。日本人で、英語がそこまで得意ではなくて、それがゆえになるべく説明しようとして喋りが長くなってしまう……皮肉なことですよね。
しかしそれを矯正するためのレッスンが面白かった!コースには英語のネイティブでない生徒が二人いたわけですが、ある日コーチがぼくらに、それぞれ日本語とチェコ語でレッスンをしてみろと言うのです。英語はいっさい禁止。
まずぼくはお辞儀をしながら「はい、みなさんこんにちはー!」。身振り手振りをまじえながら「みなさーん、こっち見てー」、「ひとりずつこうやって滑ってきてー」、そしてサムアップしながら「いいねーいいねー♪d(^v^)」。たまにオッケーとか、レッツゴーとか出るのはご愛嬌w
英語ネイティブたちも生徒が耳が聞こえなかったらという想定でレッスンをさせられて、無言でレッスンをしているカカトの浮ついた謎の連中を、昼食中のご婦人が怪しげな目つきでずっとチラ視していたのが笑えました。
最終的な合否の判定は、最終日の実地レッスンだけでなく、全体を通じての評価。最終日のレッスン後、スキー場から下りてきてすぐのCardrona Hotelのパブで再集合。そこで皆でビールを飲みながら、ひとりずつ呼び出されての結果発表。
合格ラインはオンピステ/オフピステでのフリースキーイング、デモンストレーション、教程理解、グループマネージメントや練習法の選択などのコーチング技術の四大項目を、10点満点でそれぞれ6点以上。
合格者は総合点150点満点中135点のチェコ人の女の子を先頭に4人で、ぼくは115.5点の4人中4位通過でした。残りの2人はLevel 1のみの合格ですが、実質的にはふたたび同じコースを受けなくてはならないから、不合格ということなのでしょう。
しかし合格でも不合格でも、とりあえずコース終了祝いに皆で飲むのがNZ流(なのか?)。合否発表のあったカードローナホテルではもちろん、その後もワナカのTROUTというバーに場所を移して、ビールを飲んでチップスつまんで……
ご存知のとおり酒に強くないぼくは、なにやらゼリービーンズのような、いかにも健康に悪そうな後味の悪い黒いショットをいって、つぎにテキーラが出てきたところでギブアップ。早々に席を辞して、満天の星空の下、ワナカ湖からの心地よい風を浴びながらブラブラ歩いて、宿泊先のYHAまで帰ったのでした。