2010年3月24日水曜日

バックパッカーのオーナーというお仕事

晴天率の高いゴールデン・ベイにしては珍しく、一昨日、そして今日とかなりしっかりした、もとい嵐のような雨が降っているタカカです。
先週の金曜日から小旅行にでかけていたオーナーが、一昨日の悪天候で予約していたセスナ機が飛ばずに一日足止めをくらったものの、昨日の晴天をついてようやく、宿に戻ってきました。

振り返ってみると、けっきょく当初の予定よりも一日多くなった四日間のバックパッカーのオーナー体験。

電話での問い合わせや予約の対応。レセプションとお客さんの部屋振り。金銭の授受。宿で発生する、あらゆる種類のトラブルへの対処……
これは、とてつもなく長い四日間でした。

ここKiwiana Hostelは、ドミトリーが2部屋とシングルorダブル用の部屋が4部屋、そして前庭にテントがいくつか張れるくらいで、満室になっても宿泊客はせいぜい30人前後。これはバックパッカーの多いニュージーランドにおいては、かなり小さい部類に入ると言えます。
しかし、その管理運営のいっさいを双肩に任されたときの、その重さといったら!

オーナーからは、いつもどおり午前中の掃除が終わったら、レセプションの電話を留守録モードにして3時半までは自由に外出してかまわないと言われていたのですが、とてもそんなココロの余裕はなく、けっきょく彼女が出発してから帰ってくるまでの丸四日間、一歩もホステルの外に出ることができませんでした。

「もしも外出中に、だれもスタッフが宿に居ないときに、なにかトラブルが起きてしまったら……」
そう考えただけでも恐ろしくて、そして実際、宿に残っているお客さんが少ない日中でも、予約や問い合わせの電話はけっこう頻繁にかかってくるもので、それらを帰宅後にチェックしたり、必要に応じてはこちらからかけ直したりという手間を考えると、とても外出する気にはなれないのです。

そうしてまた、神は人びとに試練を与え賜うもの。
ちょうどオーナーが出発するのと入れ違うように入ってきたテント泊の親子。お父さんと、1歳ちょいの男の子の二人連れだったのですが、この子どもが宿の備品を持っていってはその辺に投げ捨ててくるは、キッチンのスパイスを床にぶちまけるは、他のお客さんのところにいってはかまってもらいたがるは……
もちろん子どもなのである程度は仕方がないとはいえ、どうしてもお父さん一人だと目が離れてしまう瞬間ができてしまうのですね。そしてそれが、バックパッカーはホテルとは違って他の宿泊客と共用する設備や時間が多いが故に、(全員ではないとは言え)他のお客さんの不快感の原因になってしまったのです。

他のお客さんのために親子を追い出すか。

それとも他のお客さんに、子どもへの理解を求めるのか。

一般的に考えれば、親子を追い出すのがより多くのひとの満足を得るでしょう。しかしこれは多数決であり、大を生かし、小を切り捨てる考え方です。
多数決はいかなる状況においても「平等」だと、いったい誰が言い得るか?

どこに行ったって「切り捨てられやすい」立場にある親子連れのことを思うと、なかなかその決断は難しいものになるのです。

しかしそこまで大きな問題でなくとも、たとえば毎晩キッチンに残される食後の食器を目の当たりにすると、あたまの中に巨大な「なぜ??」が多少の怒りとともに渦巻きます。
どうして共用のキッチンで、お皿や鍋をそのまま残しておいて平気でいられるのか?かれらに恥の感覚や、他のひとが使いたがっているだろうという思いやりの気持ちはないのか?まさか英語でも「旅の恥はかき捨て」なんて言葉があるわけではなかろうに。
「上善は水の如し」という老子の言葉を想うとき怒りは諦めと遺憾の溜息にかわり、代わりに孫子の「次善は火の如し」の語が浮かんできます。

たしかにバックパッカーは、いろんな国のいろんな種類の旅人が交錯する、いわば旅の交差点のようなじつに愉しい場所です。あらゆる種類の宿のオーナーの多くが、自身以前は旅人であったというのも、その愉しさを自ら味わい知っているからという理由を考えれば当然のことでしょう。
でも、宿泊業の愉しさとじっさいの運営大変さは別モノだということを、今回の四日間で身に沁みて感じることができました。

火曜日の掃除中に帰ってきた、バックパッカーの管理人歴14年のKiwiana HostelオーナーJulesは「Noriを救うために、私はいまここに帰ってきたわよ~!!」と、開口一番、ニヤニヤしながら叫びました。まるで彼女の不在中に起きたトラブル、ぼくを悩ませた全てを知っているかのように……

宿を経営するというのは、じつにタイヘンなことなのです。
みなさんもこれからどこかに泊まりにいくときは、それがどんな宿泊施設であれ、このことをちらりと思いだして、人知れぬ場所で責任を背負いつづけている経営者、管理人に、救いの「おつかれさま」や「ありがとう」をお忘れなく!

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