2010年3月2日火曜日

Abel Tasman Coast Track

いったい毎日なにをしているのか。日々労働は2~3時間なのにもかかわらず、日記を書くことすら出来ずに今日まで過ごしてしまいました。下山してからもう一週間以上が経つというのに……

それでもやはり、このAbel Tasman(エイベル・タズマン)国立公園のことは書いておきたいのです。
ニュージーランド国内でもっとも小さい国立公園でありながら、年間の訪問者数がもっとも多いというこの国立公園。ここにはおおざっぱにわけて、内陸をゆく「インランド・トラック」と、海沿いをゆく「コースト・トラック」があるのですが、このコースト・トラックがすなわち国内に9ヶ所あるグレート・ウォークのひとつに数えられているのです。

ずっと海岸線に沿って、わずかな標高のアップダウンをくりかえすコースト・トラックの特徴は、なんといっても「Low Tide(干潮時)にしか渡れない」個所があるということでしょう。
ぼくらは南側からスタートしたため、Tide Walkの初体験は、一泊目のアンカレッジ湾の小屋(もちろん宿泊は今回もテントだけれど)を出発してすぐのトレント湾。コースマップには「干潮時刻の前後2時間のみ通行可能」と書いてあり、入山前にDOCでもらった潮汐表にはその日の午前中の干潮時刻は6:35amとあるので、余裕をもって8時にはそこを通過できるように出発。すると、なるほど。干潮時には湾内の海水がすべて引いてしまって、対岸まで一直線に、あるいは砂地の、あるいは貝殻ジャラジャラの上を歩いていけるというわけなのです。
とはいえ、やはり多少は川のように水が残っているところもあり、相方と「へぇ~、へぇ~!」と感心しながら登山靴を脱いでズボンの裾を捲くって、サンダルで無事通過。

しかし海を知らない山カップルな我々は「いったい海の潮はどうやって満ちるのだろう?渡っている途中の人がいたら、その人はどうなるんだろう??」なんて話をしながら歩いていたら、次のバーク湾で見事その「渡っている途中の人」を体験することになってしまいました。
トレント湾からコースタイムどおり2時間半歩いて、10am過ぎにバーク湾到着。ここは地図によるとLow Tideコースなら20分、陸上の迂回コースをとると1時間との由。あきらかにLow Tideの前後2時間というリミットは超えているけど、パッと見まだ向こう岸までほとんど水はないし、実際、5分ほど先行していた連中は膝くらいまでジャブジャブ浸かりながら渡っていっているし。
「これなら急げばイケるだろっ!」と砂浜の湾を横断しはじめたら、、、

あれ?先行パーティーの最後尾の人が、さっきは膝までだったのに、いつの間にか下半身が浸かってる??

と、思っていたら、あっという間にザブザブと打ち寄せる海水に取り囲まれてしまったぼくら。こうなってしまったら、ぼくらに残された道は急いで靴を脱ぎ、いちばん近い陸地にとにかくダッシュすること!いくら海を知らないぼくらとて、低いところからみるみる砂浜を呑みこんでゆく海水の勢いを目の当たりにすれば、もうほかに選択肢はないということを瞬時に理解できましたヨ。海ってスゴイ!!

のちに聞いた話では、潮汐表を無視して渡ろうとしたら湾のど真ん中で潮が満ちはじめてしまい、ザックを頭に乗せて、胸までの海水に浸りながら渡った(泳いだ?)人なんかもいるそうです。

こんな調子で海岸線の砂浜を歩いては、標高100mくらいの山を越えてまたつぎの砂浜へと、全行程三泊四日、もしくは途中のトタラヌイまでで終わらせれば二泊三日、続くわけです。最初は日本の模範的な登山者たるべく、長ズボン、厚手の靴下に登山靴を(さらに雨天時は雨具まで)履いていたぼくらでしたが、行程も半分を過ぎると、その服装はTシャツに黄色いハーフパンツの水着、足元はビーチサンダル履き、山越えのときのみ登山靴というスタイルに。
実際、周囲の外人トレッカー連中や、ウォータータクシーで途中のビーチに入り1dayハイクを楽しんでおられるオジサマオバサマ方の格好を見ていると、じぶんたちの重装備がバカみたいに思えてきます。ぼくらはテントに食料に寝袋に、それぞれ20kgちかい大荷物を背負っているというのに、かれらはそれらの荷物すらウォータータクシーでつぎのビーチまで運んでもらって、じぶんたちは手ぶらに水着で歩いているんですから!
年間を通じて気候が暖かいというのももちろんありますが、とにかく気軽に入山してデイウォークを楽しめるシステムが整っていて、ここの年間の訪問者数がもっとも多いというのも頷けます。

もっともオススメのキャンプ場はMutton Cove(マトン・コーブ)。コースト・トラックには4つの小屋のほかに、全部で21か所のキャンプ場(2か所はシーカヤックなど海からのアクセスのみ)があるのですが、それらを管理しているDOCのスタッフも強く薦めるのかマトン・コーブなのです。
さらに1時間ほど歩けば小屋もあるのですが、ぼくらもその日はそこでストップ。この(南側からいくと)最後のトタラヌイからワイヌイ湾までの部分はカットしてしまう人も多く、またキャンプ泊のみというのもあり、ハイカーの多いコースト・トラックにしては珍しく、ここではテントから海岸まで10歩という好立地でプライベート同然の美しいビーチと海を満喫。夜明けもキレイでした~。
近くには歩いて30分くらいでセパレーション・ポイントという岬もあり、先端の急な山肌を下りていけば、おなじみシャグ(鵜)やファーシール(オットセイ)のコロニーがほんの数メートルの距離で見られます。
個人的には、ここか、バーク湾のキャンプ場が"Abel Tasman's MUST place to stay"です!



最後に、記録も兼ねてコースト・トラックに関するジェネラル・インフォメーションを。
・まずトラック内での宿泊は、他のグレート・ウォークと同様、ハット・パスもしくはキャンプサイト・パスが必要。キャンプは一人一泊12ドル。小屋泊はいくらか忘れたが、どこも相部屋のベッドにマットレスがあるだけで、寝袋やガスクッカーなどは要持参。水は各小屋でならフィルターを通した水が入手可能だが、キャンプ場のみの場所では要煮沸。
・入山、下山の際のバスは、たいてい車道の終点(駐車場のシェルターなど)に電話があるが、予約はなくとも空席があれば乗せてくれる。
・アワロア湾には私有地に集落があるが、食品の購入などは不可。ただし、アンカレッジ湾のAqua Packersやアワロア湾のAwaroa Lodgeなど、DOC管理以外の宿泊施設はいくつかあり。
・ウェスト・コーストに比べるとサンドフライは少ないが、蚊は多い気がした。肌を露出することも多いので虫よけは必須。

このエイベル・タズマン国立公園や現在ぼくらがいるゴールデン・ベイの周辺は、日本からの旅行者があまり訪れない土地なのですが、ちょっと時間や旅費に余裕のある方なら是非訪れてみてほしい場所です。ここには壮大な氷河や山岳風景はありませんが、そのかわり美しい海と豊かな自然、甘い温暖な南国の香りに溢れています。
これらも、マウントクックやミルフォード・サウンドとはまた違う、ニュージーランドの誇れる自然のひとつですよ。


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