通いなれた地蔵尾根をヘッドライトの灯りで登る。夜の登山は、いかにその道に慣れているかがモノを言う。週にニ、三回は往復しているこの道に、不安はまったくない。足下を照らすわずかな明かりさえあれば、身体が自然と足を乗せるべき場所へと運んでゆく。
10時半、地蔵の頭。稜線上を赤岳山頂、天望荘方面とは逆の方向へ進む。
両側が切れ落ちた細い稜線上でフと立ち止まり、ヘッドライトの灯りを消すと、水平180度を超える視角で広がる秋の星空に南八ヶ岳の山々のシルエットが浮かびあがる。
あまりにもたくさんの星々。この世のものとは思えない美しさ。
前回やはり小屋の消灯後に上がってきてビバーク撮影した二十三夜峰から今日は少し進んで、日ノ岳の一枚岩の鎖場下でザックを下ろした。ちょうど恒常的に吹く強い西風からは隠れて、なおかつ地蔵の頭をはさんで常夜灯の点る天望荘や赤岳山頂山荘を望むことができる場所だ。
登りの汗が冷えないうちに、急いでウールの厚手のアンダーを着て、その上にTシャツ、ダウン、雨具と重ねる。もうこの時期は行者の標高でも朝は0℃に達する。稜線上なら氷点下は確実だ。頭も薄手の目出帽の上にニット帽をかぶる。
岩を巻きこんでくる風が、弱いが冷たい。三脚とカメラをセットして、スキーグローブをした不器用な指でシャッターを切る。
15秒、、、 30秒、、、
5分、、、 15分、、、
今晩は眼下の雲がイマイチ。
東の空、オリオンが昇りつつある下で雷の稲光がときおり光るが、稲妻が見えることはなく積雲がオレンジ色に輝くだけだ。
しかし月のない、やや紫がかった漆黒の夜空に、オリオン座、牡牛座、スバルとまっすぐ天頂に伸びたラインがとくに星影濃く美しい。
日付がまわる0時頃まで撮影し下山開始。
できれば朝焼けまで居たかったが、5時50分の日の出時刻と仕事開始時刻の6時という時間を考えるとやむを得ない。それに十分に充電していなかったバッテリーも朝まではもたなそうだ。
ふたたびヘッドライトの灯りで慎重に地蔵尾根を下り、行者小屋着1時ちょい前。
先ほど稜線で見たときには東の地平線に昇りかけだったオリオンが、もう標高差400mある稜線の上に現れ始めている。星の動きは緩慢に見えて実は早い。
ぼくは広場のベンチに仰向けになり、流れ星を二つ見てから、今日という日に感謝して床についた。
ああ、すごいなぁ!
返信削除慣れていて、夜でも全然問題ないなんて・・・。
冷たい空気の中、美しいのでしょうねぇ・・・。
今度の三連休、また、行者小屋に行こうと思っていたのですが、どうも、ずっと、体調不良。
前日にサッカーの試合(しかも私にとっては最重要と言えるアルゼンチン戦)。
あきらめたほうがいいのかなぁと思い始めています。
12月、1月はわかりませんが、バレンタインデーの頃には八甲田に1週間から、あるいはもっと、滞在するつもりです。
ぜひ、いらしてください。