そしてぼくは、読み途中の英国執事を主人公にした"The Remains of the Day"(Kazuo Ishiguro)と、お気に入りの音楽がぎっしり詰まったミュージックプレーヤーを持って、屋根の上の布団の上に横になる。
この時期、晴れた日はつねに日陰の屋内よりも陽光差す屋外のほうが暖かい。
夏だと直射日光が強すぎて屋根の上で寝ていると変な汗をかいてむしろグッタリしてしまう。また、これ以上遅い時期になると晴れていても冬の風に凍えて昼寝どころではない。
布団干しの上で寝る贅沢は、春と秋の晴れた日、太陽はほんのりと包むように暖かく、風は体温を奪わない程度のひんやりさのときに限られる。
太陽が眩しくて、本が数行しか読めないのはいつものことだ。イヤホンのなかで、甘ったるい声の女性シンガーが槇原敬之の『遠く遠く』をカバーしている。本を傍らに置いて軽く目を閉じ、心地のよい音に身をゆだねる。黒いフリース越しに陽の強さを感じる。
太陽が薄雲に隠れたな。肌がうすら寒い……
あぁ暖かくなった。また太陽が現れた……
風が、心地よい……
気がつけば、曲が一周したのかイヤホンの音楽は鳴り止んで、頭上には太陽を覆い隠すように入道雲が湧いている。
こうなると太陽はなかなか出てこなくなるし、運が悪いと夕立まで降りだす。
ぼくはさっさと布団をまとめて窓から部屋に放り込み、こうして夢見心地のお昼寝時間は終わるのである。

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